2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

亀井勝一郎の歴史意識

亀井「現代歴史家への疑問」を読んでいて思ったことをメモ。 ○「皇国史観」と「唯物史観」(というかある種のマルクス主義的な歴史記述の方法)が、「典型的人物」に依拠している点で相似しているという指摘。 ○しかし、亀井は「典型的人物」という考え方自…

『トンマッコルへようこそ』

パク・クァンヒョン監督の韓国映画『トンマッコルへようこそ』が結構おもしろかった。パッケージにはハングルしか書かれていなくて全く内容が分からなかったのだが、ジャケ買いで選んだのが良かったと思う。2005年の韓国の大ヒット作だということは後でわか…

「神道」は日本の文化の中核ってさ

すっかり更新の間があいてしまった。久しぶりに「日記を書く」画面を開いてみたら、なにやらはてなのフォーマットがかわっているし。 リハビリのつもりで軽い話題。 卒論の口頭試問の会場を覗いてみる。別段出る義務はなかったので野次馬のつもりだったのだ…

「国体」という観念

(昨日のつづき) 「国体」というものが、大きくいえばこの天皇制権力のきわまりなき無窮性・国民の生の空間すべてを包摂するまでの全体性を指示するものだったとしても、ではこの言葉が正確に何を意味するのか、を明瞭に述べることができたものはまれだろう…

松本清張『二・二六事件』

(昨日のつづき) 松本清張『二・二六事件』を数日前に読んだ。もともと「昭和史発掘」として週刊誌に連載されたうち、後半部のみを独立させたものだが、それでも全三冊、厚さにして15センチに及ぼうかという大著になっている。 二二六について書かれたも…

橋川文三の「戦争責任を明治憲法から考える」(著作集5)を読んでいて、次のような箇所が印象に残った。橋川の子供時代の話、昭和8年のことだが、母親が皇太子生誕のニュースを聞いて、泣き笑いをしていたという。その映像を通して、彼の生活に天皇制が入…

「私の神経症性」

斎藤環の本をぱらぱらと読んでいて、最近の作品では、作中人物が自分が虚構であることを意識するようになった、という意味の文章にぶつかって思わずうなずいてしまった。今読み返すと、斎藤は小説のことだけ考えているわけではなく、「ほとんどのジャンルで…

北京の印象

5日間北京を訪れて、あちこちをぶらぶらしてきた。友人のSさんの家に泊めていただき、Sさんの知人の若い研究者に紹介してもらったり、Sさんの先生に街を案内してもらったり、毎晩遅くまでSさんにいろいろと話を聞かせてもらったり、彼には本当に感謝するし…