うたをうたう

ひょんなことから、妻が勤めている大学附属の語学学校で歌をうたうはめに。いや、授業の一環として。100人ほどの生徒を前に、「真夏の果実」を歌ってきた。かなり恥ずかしかった。ところで、たまに語学学校の授業に出ると、ずいぶん学生の顔つきが違うものだな、と思う。自分が勤めている大学の子たちは、どこか大人しいというか、醒めているというか、とにかく教壇に立って、熱気が教室から押し寄せてくる、ということはない。それに比べ、語学学校の生徒たちはもっと興味津々という感じだ。それに、ずらりと並んだ顔を見渡したとき、すごくデコボコした感じがある。つまり、そこに共通した階層なり、育ちなりといったものが想像できない。やはり大学に来ている学生たちのほとんどは、中産階級(といっても二十年ほどの歴史しかないが)の第二世代だが、語学学校にはもっと多様な出自の人たちが来ている、ということなのか。実はたまに語学学校の方の生徒と話すと、みんなやたらとキャラが立っていて、自分の学生よりおもしろくなってしまうのだ。中には、もう日本で数年働いてきたというものもいる。岩手の久慈で鶏を解体していた、とか。