2006-07-11から1日間の記事一覧

今日の一言(つづかない)

ロマン派というのは、結局文体の問題である。形式において非ロマン的、内容においてロマン的ということはありえない。

「芸術作品の根源」より

ハイデガーを読んでいて、次のようなフレーズにぶつかる。もちろんハイデガー的な形而上学的な深み(いかにもロマン派的な思わせぶりともいえる)はないものの、柳の述べていたことと、ハイデガーの道具論はほとんど重なるように思う。 この道具(農婦の労働…

「日本浪漫派批判序説」より

単に人民文庫と日本浪漫派が転向というひとつ枝から分かれてきたものと見るのではなく、プロレタリア文学運動自体が、大正末期昭和初頭のデカダンスに起源を持つ、という視点をもっとも強く主張しているのは、橋川文三であるように思われる。とりわけ、文芸…

民芸と時代性

一般に柳は大正的な思想家と目されがち(実際そうなのだが)にしても、民芸というコンセプトが明確化され展開されていくのは昭和期である。「下手ものの美」が1926年、「工芸の道」連載が27年から。 伊藤徹『柳宗悦 手としての人間』p178 東大安田講堂の設計…

柳と保田、土門

一九三九年暮れに、柳宗悦は沖縄に旅行する際に、一門のほか、保田與重郎と土門拳を引き連れている。民藝運動と土門のあいだにどういうつながりがあったのかはよくわからない。数年前の土門は人民文庫にも出入りしていた。 案の定というべきか、保田は「現代…