映画

「カビリアの夜」

テレビをつけると白黒映画をやっており、しばらく眺めているうちにフェリーニの「カビリアの夜」だと気づく。1957年。ローマの娼婦カビリアとその周りのチンピラ群像。野方図だけどけなげでもあるカビリア、騙され、踏みつけにされるカビリア。なんともグッ…

『トンマッコルへようこそ』

パク・クァンヒョン監督の韓国映画『トンマッコルへようこそ』が結構おもしろかった。パッケージにはハングルしか書かれていなくて全く内容が分からなかったのだが、ジャケ買いで選んだのが良かったと思う。2005年の韓国の大ヒット作だということは後でわか…

『姿三四郎』『楊貴妃』

黒澤明のデビュー作『姿三四郎』。1943年の作品だが、当時の時代の雰囲気を感じさせるようなものは微塵もない。黒澤のすべての作品の中でも、もっとも明るくのびやかなもののひとつではないだろうか。国策にそわない部分をスタッフが関知せぬまま削られ、戦…

黒澤明『白痴』

なんといっていいものやらよくわからない。場外ホームランなのか、超弩級のファウルなのかも判断できない。ただ白球が宇宙空間にまで飛んで行ってしまい、自分がとりのこされたのは確かだ。やっぱドストエフスキーはでっかいなあ、というのと、いくら何でも…

黒澤明『我が青春に悔いなし』

いろんな意味でおもしろすぎる怪作という印象。タイトルとパッケージから軽い青春喜劇かと思ったらとんでもない。滝川事件(京大事件)を背景に、三十年代のファッショ化の流れに翻弄される女性の姿を描く。ヒロインの恋人のモデルは、まちがいなく尾崎秀実…

DVD買い出し

昨日は、機場路にある、最近できたらしいショッピングセンターへ。映像・音楽関連のソフトを扱うショップが集中している。一軒だけ、古い映画をかなりそろえている店を見つけ、主に黒澤明と溝口健二の作品をあさる。外国映画にもかなり食指をそそられるもの…

増村保造、山内鉄也、山中貞雄

映画を三本。増村保造の『巨人と玩具』は、開高健原作の社会風刺劇。とにかく、当時(1958)の紋切り型の社会批評を一層通俗的にしたような台詞を、最初から最後まで俳優たちががなりまくる。というわけで、騒々しいのなんの。見終わったあとで、げっそりと疲…

『西鶴一代女』

溝口健二の『西鶴一代女』。最初は江戸時代にしては、妙に近代人めいた人物たちの言動に、居心地の悪さを感じていたのだけど、途中からそんなことはどうでもよくなってしまう。とくに、田中絹代が生き別れた息子がのる駕篭に遭遇する*1場面から十五分程はた…

成瀬巳喜男と溝口健二

成瀬の『稲妻』と溝口の『雨月物語』を見る。『稲妻』は物語のあいまに挟み込まれる路地のカットがなんとも美しい。自分はつくづく成瀬が好きなのだと実感。やりきれない話なのだけど、暗く崩れた感じにはならず、ひとつひとつのシーンの透明な明るさ、端正…